世界中で1種とされていたクロヘリアメフラシが10種に分けられました

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形態学的研究では地理的に孤立した個体群の間で一貫した差異を見出すことが出来なかったのですが、分子系統学による解析で10種に分かれることがわかった。という論文になります。

Aplysia japonica G. B. Sowerby II, 1869

クロヘリアメフラシ

Aplysia parvula グループ から明確に独立種として分けられました。
日本と韓国から確認されています。
相模湾後鰓類図譜で記載されたクロヘリアメフラシは本種になると思われますので、アオウミウシのように実はごく狭いエリアでしか見られないレア種になりました。いるところには大量にいますけどね。

クロヘリアメフラシ Aplysia japonica | 世界のウミウシ

Aplysia nigrocincta von Martens, 1880

アプリシア・ニグロチンクタ

Aplysia elongata–nigrocincta species complex という書かれ方がされている種で、 A. nigrocincta, A. elongata, A. hooveri が含まれているとされます。見た目で分けるのは困難なので正確な同定はDNAでが必要なのですが、生息域がそれぞれ、Tropical Indo-Pacific, Hawaiian Is., Eastern Pacific となっていますので、そこで分けるのがとりあえず良いのかなと思います。
また投稿写真をみていても更に分かれる可能性はあるのではないかなと思います。

アプリシア・ニグロチンクタ Aplysia nigrocincta | 世界のウミウシ

Aplysia sp.

沖縄およびバヌアツから採集された個体で、数が少ないため学名が付かなかった種になります。
クロヘリアメフラシとよく似ていますが赤い縁取りがなく、かつ腹足まで黒い縁取りがされているので見分けることは可能です。
DNA上では、Aplysia species complex 2 とされ 新規記載された A. ghanimii に近いとされます。A. ghanimii は、バハマ・マダガスカルから確認されています。

アメフラシ属の一種 1 Aplysia sp. 1 | 世界のウミウシ

その他

これまで世界中に分布するとされていた Aplysia parvul は 南カリブ海(バージン諸島とセントビンセント)とホンジュラス に限定された種になりました。

日本でも The cryptic diversity in Aplysia parvula という発表が2017年にされているので今後その研究結果が発表されるかも。

参考論文

  • Golestani, H.; Crocetta, F.; Padula, V.; Camacho, Y.; Langeneck, J.; Poursanidis, D.; Pola, M.; Yokeş, M. B.; Cervera, J. L.; Jung, D.-W.; Gosliner, T. M.; Araya, J. F.; Hooker, J.; Schrödl, M.; Valdés, Á. (2019). The little Aplysia is coming of age: from one species to a complex of species complexes in Aplysia parvula (Mollusca: Gastropoda: Heterobranchia). Zoological Journal of the Linnean Society.
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