新しく和名の付いたウミウシたち

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「高知県大月町樫西海域及び一切海域から記録された後鰓類」という論文が公開されました。
これにより、多くのウミウシに和名が与えられました。

世界のウミウシで登録されているものについては既に変更済みですが、閲覧された方は突然和名が付いていて躊躇すると思います。
なので、その内容をここで紹介します。(和名をクリックすると世界のウミウシに飛びます)

キンナミミドリガイ 
キンナミミドリガイ Elysia sp.10
側足の縁を金の波に見立ててだそうです。


ケラマコネコウミウシ
ケラマコネコウミウシ Goniodoris sp. 2
今までケラマコネコウミウシという愛称で呼ばれていたものが採用されました。


クロネコウミウシ
クロネコウミウシ Goniodoris sp. 6
全体的に黒色をしているところから。


ツルヒメウミウシ
ツルヒメウミウシ Goniodoridella sp. 5
体型が厳ついことが、戦国時代の伝説の女傑である鶴姫を連想させるとの事。


アオモンツガルウミウシ
アオモンツガルウミウシ Trapania palmula Gosliner & Fahey, 2008
トラパニア・パルムラと呼ばれていたものに和名が付きました。
触角二次鰓 の横にある突起に青色の斑紋が入る事から。


ハクテンツガルウミウシ
ハクテンツガルウミウシ Trapania sp.
背面全体に白色の細点が散在する事から。


キイロセンヒメウミウシ
キイロセンヒメウミウシ Aegires citrinus Pruvot-Fol, 1930

世界のウミウシでは Aegires pruvotfolae Fahey & Gosliner, 2004 としていましたが、WoRMS がこれを無効と判断しました。よって、学名も変更しています。

黄色の体色から。


ベニフジセンヒメウミウシ
ベニフジセンヒメウミウシ Aegires sp.
紅藤色の体色から。


アゴヒゲキヌハダウミウシ
アゴヒゲキヌハダウミウシ Gymnodoris sp. 3
頭部に髭のような器官があることから。


アマミキヌハダウミウシ
アマミキヌハダウミウシ Gymnodoris sp. 5
日本初記録地の奄美大島に因む。


スルガリュウグウウミウシ
スルガリュウグウウミウシ Tambja verconis
ダイバーの間で愛称で使われていたスルガリュウグウウミウシが採用されました。


ムラサキアミメウミウシ
ムラサキアミメウミウシ Rostanga sp. 4
紫色の体色と網目模様から。


ソヨカゼイロウミウシ
ソヨカゼイロウミウシ Hypselodoris zephyra
種小名の zephyra はそよ風という意味があることから。


ヨセナミウミウシ
ヨセナミウミウシ Miamira sinuata
仮称が取れました。収縮性のある 外套膜 を寄せては返す波に見立てて。


ユキウサギウミウシ
ユキウサギウミウシ Verconia hongkongensis
赤い 触角 を雪うさぎの目に見立ててだそうです。


ダニエライロウミウシ
ダニエライロウミウシ Thorunna daniellae
学名のダニエラがそのまま採用されました。


ツユクサイロウミウシ
ツユクサイロウミウシ Thorunna punicea
体色がツユクサの色に似ているという事なのですが、ツユクサはもっと青色なので違和感があります。


ハナムスメウミウシ
ハナムスメウミウシ Thorunna sp. 4
イロウミウシ科の一種とされてきたが、Thorunna シノビイロウミウシ属になりました。
和名は美しい体色から。


サビイロホクヨウウミウシ
サビイロホクヨウウミウシ Tritoniidae sp. 1
体色の茶色を錆色に見立てて。


ハレギミノウミウシ
ハレギミノウミウシ Flabellina sp. 3
紅白の体色が晴れの日の衣装のようであることから。


アイリスミノウミウシアイリスミノウミウシ Flabellina sp. 6
背側突起 の黄色と紫色の配色がアイリスを連想させるところから。


スベスベジョオウミノウミウシ
スベスベジョオウミノウミウシ Eubranchus sp. 1
近似種のジョオウミノウミウシと比べ、 背側突起 に小突起が生じないことから。


ホホベニミノウミウシ
ホホベニミノウミウシ Cuthona sp.15
頭部の色彩が赤味を帯びる事から。


ウスアオミノウミウシ
ウスアオミノウミウシ Cuthona sp.20
背側突起 が薄青色になる事から。


ウララカミノウミウシ
ウララカミノウミウシ Cuthona sp.23
色合いが麗らかな春を想起させる事から。


カナリヤミノウミウシ
カナリヤミノウミウシ Cuthona sp.21
背側突起 の色彩がカナリヤを連想させるそうです。


ローズミノウミウシ
ローズミノウミウシ Cuthona sp.22
背面の地色がバラの花を連想させる事から。


マッチボウミノウミウシ
マッチボウミノウミウシ Cuthona sp.
背側突起 がマッチ棒を連想させる事から。


フイリフサツノミノウミウシフイリフサツノミノウミウシ Noumeaella rehderi
全体に散布する白い小斑紋から。
尚、同時に、Noumeaella属にフサツノミノウミウシ属という和名が与えられました。


シロフサツノミノウミウシシロフサツノミノウミウシ Noumeaella sp. 2

全体的に白色な事から。


クロフサツノミノウミウシクロフサツノミノウミウシ Noumeaella sp. 3

全体的に黒色な事から。


ハチジョウミノウミウシハチジョウミノウミウシ Phyllodesmium sp. 1
日本初記録地の八丈島に因む。


この他、世界のウミウシに写真がないウミウシにも以下の名前が付きました

Aglaja sp. ホカケキセワタ
Gastropteridae gen. et. sp. indet. クコノミウミコチョウ
Cyerce sp. ルリホシウロコウミウシ
Goniodoridella sp. カイヒメウミウシ
Trapania squama Gosliner & Fahey, 2008 ウロコツガルウミウシ
Platydoris inornata Dorgan, Valdés & Gosliner, 2002 マダラクモガダウミウシ
Chromodoris striatella Bergh, 1877 ミダレスジイロウミウシ
Scyllaea sp. シロオキウミウシ
Cuthona sp. ウシノネミノウミウシ
Cuthona sp. ユウグレミノウミウシ
Cuthona sp. アエカミノウミウシ
Cuthona sp. キンスジミノウミウシ

写真をお持ちの方、投稿よろしくお願いいたします


今回の論文について、学名がないものに関して和名が提唱されたのにはやや疑問は残りますが、ウミウシを分類する上では認識し易くなると思います。

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