分類が変わって後鰓類がなくなった話

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ウミウシの分類について新しい論文が2017年に出されました
2005年に出された論文の続きとなるものなのでこれを採用し、世界のウミウシの分類を更新しています

Bouchet P., Rocroi J.P., Hausdorf B., Kaim A., Kano Y., Nützel A., Parkhaev P., Schrödl M. & Strong E.E. (2017). Revised classification, nomenclator and typification of gastropod and monoplacophoran families. Malacologia. 61(1-2): 1-526.

2005年以前の分類はこうでした

界 : 動物界 Animalia
門 : 軟体動物門 Mollusca
綱 : 腹足綱 Gastropoda
亜綱 : 直腹足亜綱 Orthogastropoda
下綱 : Apogastropoda
上目 : 異鰓上目 Heterobranchia
階級なし : 後鰓類 Opisthobranchia
後鰓類 – Wikipediaより
この後鰓類=ウミウシというのが日本では一般的かと思います

※後鰓類の下にこういったものがあります
頭楯目 Cephalaspidea (ミスガイ、ブドウガイ、キセワタ、ウミコチョウなど)
裸殻翼足目 Gymnosomata (クリオネなど)
無楯目 Anaspidea (アメフラシ)
嚢舌目 Sacoglossa (テングモウミウシなど)
裸鰓目 Nudibranchia (アオウミウシやミノウミウシなど)

ところが2017年の分類はこう変わりました

(※2017年にいきなり変わったわけでなく2005年に論文が出てそれ以降も変わり続けています)

界 : 動物界 Animalia
門 : 軟体動物門 Mollusca
綱 : 腹足綱 Gastropoda
亜綱 : 異鰓亜綱 Heterobranchia
下綱 : Euthyneura

準綱 : Acteonimorpha
上科 : オオシイノミガイ上科 Acteonoidea (ミスガイ、コンシボリなど)

準綱 : Ringipleura
上目 : Nudipleura
目 : 側鰓目 Pleurobranchida (カメノコフシエラガイなど)
目 : 裸鰓目 Nudibranchia (アオウミウシやミノウミウシなど)

準綱 : Tectipleura
: Euopisthobranchia
目 : Umbraculida
目 : 頭楯目 Cephalaspidea (ブドウガイ、キセワタ、ウミコチョウなど)
目 : ウズムシウミウシ目 Runcinida (ルンキナウミウシなど)
目 : アメフラシ目 Aplysiida (アメフラシ)
目 : Pteropoda
亜目 : Euthecosomata
亜目 : Pseudothecosomata
亜目 : 裸殻翼足亜目 Gymnosomata (クリオネなど)

準綱 : Tectipleura
: Panpulmonata
上目 : 嚢舌上目 Sacoglossa (テングモウミウシなど)
上目 : Eupulmonata (※カタツムリなど)

ものすごいわかりにくいですが、後鰓類がなくなってしまい、Euthyneuraの下に所属するという点だけは共通しますが、より細かく分かれたということだと思います

図的にわかりやすいのは2017年が反映されてないけど概ねこの通りです
Euthyneura – Wikipedia

というわけで
DNAでの分類が進んでいるので分類が度々変わりますが、今はこんな感じですよという紹介でした
世界のウミウシではこれまで通り後鰓類だったものたちを紹介していきますのでさほど大きな変化はないと思います
(実はミノウミウシ小目がなくなってしまって結構困ってます)
(有肺類 Pulmonata もなくなってしまったので、有肺類はウミウシじゃないって言い方も微妙になった)

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