色々含まれていたタスジミドリガイが12種に分けられました

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Thuridilla属 20種を分子系統解析してみたところ、35種が存在することが判明しそのうちの3分の1以上である12種が、Thuridilla gracilis (タスジミドリガイ) とされていたものだった」という論文が発表されたので紹介します

まず、なにはともあれ

タスジミドリガイ Thuridilla gracilis (Risbec, 1928)

タスジミドリガイ

今まで通りのイメージで和名も学名もそのまま
触角の先がオレンジ色で、体にはいる白い縦線が触角の先まで入ります
そして大事なのが、青い斑紋が入らないです

ハナミドリガイ Thuridilla splendens (Baba, 1949)

ハナミドリガイ

ハナミドリガイもタスジミドリガイのグループとして紹介されています
一目瞭然ではありますが、ハスジミドリガイに白(グレー?)の斑紋が触角の間と体にあります
体には縦線がないのも特徴ですね

Thuridilla bayeri (Er. Marcus, 1965)

Thuridilla bayeri

Thuridilla gracilis のシノニムとされ無効な学名とされていました
触角の先はオレンジで、その次に明確な白いバンドがあります
また触角の先まで白い(黄色っぽい)縦線が伸びます
頭部と体に青い円斑があります

Thuridilla ratna (Er. Marcus, 1965)

Thuridilla ratna (Er. Marcus, 1965)

こちらも Thuridilla gracilis のシノニムとされていました
論文中の図版が間違ってる気がするので微妙な種ですが、
触角の先がはっきりとオレンジで白い線が入らない(触角の間、頭部分が概ね白い)

Thuridilla gracilis とごちゃまぜで著者に見せたら見分けられるのか確認したい感じです

ここから後は未記載種のままの報告になっています。

Thuridilla sp. 2

世界のウミウシにも写真がありません。
Thuridilla gracilis と似ていますが、先がオレンジで次に白いバンドが入ります

Thuridilla sp. 4

Thuridilla sp. 4

3が飛んでいるのは、標本のみで色パターンなども不明だからなようです。(DNAのみで確認されている)

Thuridilla bayeri に似ていますが触角に先のオレンジの色が太く、次に来る白いバンドも太いです
体と頭には青い円版(色が薄い)があります

Thuridilla sp. 6

Thuridilla sp. 6

Thuridilla ratna に似ていますが触角の先が黒く、次に広いオレンジ色のバンドがあり、微妙に白いバンドがあります

Thuridilla sp. 7

触角の先が黒く、次に狭いオレンジ色のバンドがあり、広い白いバンドがあります

Thuridilla sp. 8

Thuridilla bayeri に似ますが触角に白いバンドがなく、先まで白い線が入ります
頭部及び体にはっきりとした青い斑紋があります

世界のウミウシに写真がありません。
ハナミドリガイに似ていますが、触角の先のオレンジのバンドが広く、斑紋は青いです
体にも縦線があります

Thuridilla sp. 5と10 は論文中に写真がありません。

Schematic representation of the colouration on the dorsal side of the rhinophores among the Thuridilla gracilis species-complex. (a) Thuridilla gracilis; (b) Thuridilla splendens; (c) Thuridilla bayeri; (d) Thuridilla ratna; (e) Thuridilla sp. 2; (f) Thuridilla sp. 4; (g) Thuridilla sp. 6; (h) Thuridilla sp. 7; (i) Thuridilla sp. 8; (j) Thuridilla sp. 9.

これらのパターンが論文中では図でまとめて紹介されています。実際の写真と見比べるとうーん?ってなる場所もありますが、わかりやすくていいと思います。

参考文献

Martín‐Hervás, M. D. R.; Carmona, L.; Malaquias, M. A. E.; Krug, P. J.; Gosliner, T. M.; Cervera, J. L. (2021). A molecular phylogeny of Thuridilla Bergh, 1872 sea slugs (Gastropoda, Sacoglossa) reveals a case of flamboyant and cryptic radiation in the marine realm. Cladistics. DOI: 10.1111/cla.12465.

世界のウミウシでこれらタスジミドリガイのグループを見る → https://seaslug.world/categories/810

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