Chromodoris colemani は同属のウミウシに擬態しているのかもしれない

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1999年から2017年の間にインド太平洋から採集された合計345のChromodoris属のDNAを解析したという論文を紹介します。
解析した結果18種の未記載種を発見したものの、そのうちの5種のみが色彩・形態で判別可能、その他については色パターンで同定することが難しかった、という内容になります。

Chromodoris colemani

その中でも1番特異的だったのが、Chromodoris colemani
日本で見られる種がそもそも本種でいいのかもわからなくなってしまう内容なので非常に困るのですが、おそらく上の写真は Chromodoris colemani であってると思います。

Chromodoris colemani ‘annae’ morph

そして、これも Chromodoris colemani  であるとされています。
Chromodoris annae を模倣しているのではないかと推測されていますが、本当のところはどうかわかりません。
他に、オーストラリアの西海岸では C. westraliensis にそっくりな個体。東海岸では C. burni にそっくりな個体と色や線のパターンでは同定することが不可能な個体が紹介されています。

Chromodoris joshi

同じように、Chromodoris joshi もオーストラリア西海岸で全く見た目の異なる個体が採集され紹介されています。

Nudibranch & Sea Slug Identification – Indo-pacific 2nd edition では、これらの写真が載せられていますが、Chromodoris joshi のバリエーションの写真は、1st edition では日本・フィリピンの個体とされていて論文の内容と矛盾しています。

Chromodoris colemani ?

また、日本で見られる黒線が細い Chromodoris colemani  については触れられてもおらず、図鑑掲載もないのでどうすればいいのかわからなくなりました。

今後さらなる調査が必要であると書かれているので、日本の種に対してリアクションが出来る人がいるといいのですが、日本にはウミウシ分類学者がいないのでどんどん取り残されているのが現状でしょうか。。

参考論文: Layton, K. K.; Gosliner, T. M.; Wilson, N. G. (2018). Flexible colour patterns obscure identification and mimicry in Indo-Pacific Chromodoris nudibranchs (Gastropoda: Chromodorididae). Molecular Phylogenetics and Evolution. 124: 27-36., available online at https://doi.org/10.1016/j.ympev.2018.02.008

論文をすぐに送ってくれた Dr. Layton, K に感謝します。

2019.5.27 追記

複数の人からコンタミ(複数種のDNAの混入)ではないかと指摘がありました。今後の検証が待たれます。

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