トゲトゲウミウシの仲間たちに学名がつきました

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日本では不思議なぐらい多彩なコヤナギウミウシの仲間たちがいますが、その殆どに学名がありません。
それらの一部に学名が付きましたので紹介します。

Janolus tricellariodes Pola & Gosliner, 2019

トゲトゲウミウシ

他に似た種はたくさんいますが、オレンジ色の背側突起に白い斑紋があるのが特徴。また触角もオレンジ色で、先に紫色の環があり先端は白い。

日本のウミウシで、本種はコヤナギウミウシの仲間と紹介されていますが、和名が提唱された海洋生物ガイドブックおよび ウミウシガイドブックに掲載されている写真は白い斑紋がありますので、本種の和名はトゲトゲウミウシとなります。

→ トゲトゲウミウシ Janolus tricellariodes | 世界のウミウシ

Janolus flavoanulatus Pola & Gosliner, 2019

サーシャコヤナギウミウシ

トゲトゲウミウシに非常によく似ていますが、触角が根本まで紫色であることで見分けることが可能です。

日本のウミウシでは、本種を Janolus savinkini  と表記していますが、触角の特徴などが異なりますので誤りです。

→ サーシャコヤナギウミウシ Janolus flavoanulatus | 世界のウミウシ

Janolus incrustans Pola & Gosliner, 2019

ハナサキコヤナギウミウシ

上の2種とは見た目が明確に異なりカラジシウミウシに似ています。
背側突起の先が膨む、全体に白斑があることが特徴です。

本種やカラジシウミウシは属がコヤナギウミウシ属ではない可能性が高いと記載されていますので今後変更されそうです

日本のウミウシでは、伊豆で出るタイプをハナサキコヤナギウミウシとして紹介していますが、沖縄のウミウシで新称とされているのは本種なので、和名はハナサキコヤナギとなります。
なお、伊豆で出るタイプは本州のウミウシおよび沖縄のウミウシではコヤナギウミウシとして紹介されています。

→ ハナサキコヤナギウミウシ Janolus incrustans | 世界のウミウシ

その他の変更

これまでコヤナギウミウシ属は、Proctonotidae科(コヤナギウミウシ科)に所属していましたが、Janolidae科の所属に変更されました。

ハナヤギウミウシが、コヤナギウミウシ属からAntiopella属に変更され、ラテン語の命名規則の影響を受け、Antiopella fusca と変更されました。

ショウジョウウミウシ科Proctonotoidea上科の下へ移され、コヤナギウミウシ等と近い種とされました

パプアニューギニアで Madrella amphora が新規記載されました。( Madrella sp. 1 Gosliner, Valdés, & Behrens, 2015: 305, upper left photo )

参考論文

  • Pola M., Hallas J.M. & Gosliner T.M. (2019). Welcome back Janolidae and Antiopella: Improving the understanding of Janolidae and Madrellidae (Cladobranchia, Heterobranchia) with description of four new species. Journal of Zoological Systematics and Evolutionary Research. 57(2): 345-368., available online at https://doi.org/10.1111/jzs.12257
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