図鑑写真のススメ。第2回目は「撮影機材を揃える」です。
撮影機材をちゃんと考えながら揃えるのも図鑑写真を撮るのと密接な関係があります。
カメラ
まずは、カメラです。これがないと撮影できません。
カメラのタイプは大きく分けて、コンパクトデジタルカメラ(左)、ミラーレス一眼(中央)、一眼レフカメラ(右)の3種類があります。
一眼レフカメラのメリットは、画素数が大きく、質の良いC-MOSセンサーを使っていて、絞りやシャッタースピードなどの設定も細かく調整できるので、クオリティが高く、且つ自由度の高い写真が撮れる事です。
それに対するデメリットは、高価で、それに付随するハウジングなどの機材も高い事です。また、大きくて、メンテナンスや取り扱いが面倒という事もあります。
一眼レフカメラをウミウシ撮影用のマクロ仕様で組もうとすると、最低でも30万円はかかります。
一方、コンデジは、画素数はそこそこ大きなものも出ていますが、C-MOSセンサーが安価で、カメラ側の設定が自由にならないものも少なくありません。
でも、価格は安く、文字通りコンパクトなので、ダイビングに持って行くときもかさばりません。
コンパクトデジカメにハウジングとその他必要な機材を揃えても10万円くらいで済みます。
この間を埋めるのがミラーレス一眼と呼ばれるカメラです。
一眼レフとコンデジの中間的なSPECで、価格も20万円程度で揃えることができます。
マクロレンズ + クローズアップレンズ
一眼レフとミラーレス一眼のレンズ交換式カメラにとって、レンズのチョイスは重要です。
ウミウシは、大きさが1cm前後のものが多いです。このような大きさの被写体を撮る場合はマクロレンズが必須です。
一眼レフやミラーレスなら50mm~100mmの範囲のマクロレンズが良いです。
コンデジの場合、レンズを交換する事ができません。
カメラに付いているレンズは標準のズームレンズで、マクロ撮影には向いていません。カメラの機能でマクロモードというものがありますが、極小のウミウシを撮影するには少し物足りません。
このような場合は外付けのクローズアップレンズがあると良いです。
外付けクローズアップレンズを付ける事により、被写体に近づいて、大きく写すことができるので、数ミリのウミウシを奇麗に撮る事もできます。
もちろん、コンデジだけでなく、一眼レフやミラーレス一眼に付けて、スーパーマクロ撮影を行う事もできます。
クローズアップレンズは各メーカーから色々なものが出ていますが、自分のハウジングに合う規格のものを選べば良いです。
(稀に、カメラとの相性によっては、周辺がケラれてしまうなどのデータがありますので、購入する前に店員さんやメーカーに相談すれば良いでしょう)
ハウジング + ポート
ハウジングとはカメラを水中に持ち込むための防水ケースになります。
カメラに合わせて各メーカーから色々なタイプが販売されています。
コンデジの場合は、カメラメーカーから安価なものが販売されています。
安価と言っても耐圧水深は45mあり、機能としては申し分ありません。
一眼レフカメラのハウジングは、耐腐蝕アルミ合金の削り出しで耐圧水深が100mもあります。
そこまでは潜らないにしても安心感があります。
一眼レフカメラやミラーレス一眼は、取り付けるレンズによってポートの形も変わってきますので、それに合うものを揃える必要があります。
水中ライト
次に、必要なアイテムは水中ライトです。
水中は太陽光線を遮断するので、思っているよりも暗いです。更に、真上から至近距離でカメラを構えると、被写体はますます暗くなってしまいます。
暗くなると、ファインダーやモニターが見づらくなるので、ピントの微調整が難しくなります。場合によってはオートフォーカスが効かなくなる場合もあります。
また、カメラの撮影モードをオートにしている場合、シャッタースピードが遅く設定されるので、手ブレを起こす原因になります。
シャッタースピード優先(S)モードにして、シャッタースピードが遅くならないように設定すると、今度は絞りを開いたり、ISO感度が上がりすぎたりしてピントや画質に影響が出てしまいます。
こういった場合はターゲットライトがあると良いです。
ターゲットライトは撮影時だけでなく、ウミウシを捜すときにも効果を発揮します。
照射角の狭いものよりも広いもの、また、色温度は自然な色合いに近いものを選ぶと良いでしょう。
ストロボ
コンデジ撮影時、あまり被写体に近づきすぎると、ストロボの光が、ポートや外付けのクローズアップレンズにケラれてしまい、写真の一部に影ができる場合があります。
これは、外付けのストロボやライトで防ぐことができます。
ジョイントパーツ
あとはジョイントパーツです。
たまに、右手にカメラ、左手にライトを持って撮影している方を見ますが、これだと体が支えられないので、手ブレを起こす原因になります。 自由な構図で撮る事も難しいでしょう。
カメラとライトを固定するアームやクランプなどのジョイントパーツは是非揃えておきましょう。
次回は「撮影時に気を付ける事」をお送りします。