なごや生物多様性センター機関誌「なごやの生物多様性」にて、愛知県南知多町の潮間帯に生息するウミウシ類1(裸鰓目)という論文が掲載され公開されました。
内容は日本語ですし興味ある人は読んでください
この論文の中で、ツヅレウミウシの学名が Discodorididae gen. sp. とされました
これは日本語で書くとツヅレウミウシ科の未記載種(不明種)となり、これまで Discodoris concinna (Alder and Hancock, 1864) もしくは Tayuva lilacina (Gould, 1852) とされてきたことが否定されました。
書かれている内容を抜き出してみましょう。
備考:本種の外部形態,歯舌の形状は,Baba(1933),馬場(1947,1949)の記載に概ね合致する.
従来ツヅレウミウシの学名には Discodoris concinna (Alder and Hancock, 1864)が用いられていた(例えば,馬場,1947,1949;安部,1964など).その後,小野(1999)は本種と形態の類似したT. lilacinaを沖縄島より報告し,小野(2004)は両種を同一としたことから,ツヅレウミウシの学名はT. lilacinaとなり,後の報告においても同様の学名が用いられている
インド洋産の個体を元に記載されたD. concinnaは, 原記載によれば同海域では普通種とされている(Alder and Hancock,1864).一方,本種の日本国内における分布域は広範にわたるが,八丈島および沖縄島における産出記録(小野,2004;加藤,2009)はいずれも背面の正中線両側に明瞭な楕円形の斑紋を有しない点,顆粒突起が微小である点から別種と考えられ,実際の分布域は九州から本州中部にかけての温帯域に限られている(Baba,1933;馬場,1949;鈴木,2000).また,インド太平洋域において過去に本種の分布記録が無いことからも(Debelius,1996;Coleman,2008;Gosliner et al.,2018),D. concinnaは分布域の異なる別種と考えられる.
現状として本種は未記載となる可能性が高く,外部形態および陰茎の形状が合致することからDayrat(2010)の示すDiscodorididae sp. C と同種と考えられる.
※ というわけで、ツヅレウミウシという和名のウミウシは T. lilacina ではなく、未記載種であるという結論になりました。
※ 外見だけで見分けるためには現状腹面の写真もあることが望ましく、背腹セットの写真が増えれば背側だけの写真でも見分けることが可能になるかなと思っています。
注) ※ がついているコメントは木元の個人的な感想です。